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西日本、転々記 4日目 -神戸-

▼ 鳥取→三ノ宮

朝ブラインドを上げると、あいにくの雨模様だった。
9:00にホテルをチェックアウトする。
駅から近いホテルであることが幸いした。
建物の庇や地下通路を通ったので、傘は使わず、ほとんど濡れずに駅まで辿り着くことができた。

9:26鳥取発「スーパーはくと4号」で三ノ宮へ向かう。
智頭までは因美線を通り、智頭急行を経由して山陽本線へ出る。
鉄路は中国山地の山あいをひたすら南下し、山陰から山陽へ至る。
智頭町は谷川沿いに形成された宿場町といった趣。
車窓にまとわりついた滴が、ひょっとしたらもう二度と見ることもないかもしれない風景を歪める。

本でも読もうかと思っていたが、気がついたら眠ってしまっていた。
目を覚ますと眩しい光に沿線の新興住宅地が燦々と照らし出されていた。
山を抜け、列車は山陽本線に入っていた。
さっきまでとはうって変わった風景のコントラストにめまいがする。
通路越しに右手の窓に目をやると、ちょうど明石海峡大橋が映し出されていた。

今回の旅は、列車に乗っている時間が結構長い。
しかしそのわりには景色を眺めているのに飽きなかったので、わざわざ横浜で買った文庫本にはいまだに手をつけずにいた。

▼ 夜景を……

三ノ宮(JR以外は三宮)に降り立つ。
とりあえず三ノ宮のひとはそんなに歩くの早くはないかな。
なぜかちょっとだけ、一安心。
駅周辺をうろうろして、やっとの思いで観光案内所を探し当てた。
案内所なんだから、もう少しわかりやすい場所に作るか、分かりやすく誘導する案内表示が欲しいところ。

神戸といえば、函館・長崎とともに日本三大夜景のひとつに数えられる。
函館山からの夜景は、昨年見ることができた。
長崎へは学生時代に訪れ、稲佐山からの夜景を見ている。
こうなると、神戸に来て六甲山系からの夜景を見ないわけにはいかない。

ただし神戸は、函館・長崎とは異なり、街の夜景を見下ろす展望スポットは数多い。
鉢巻展望台、天覧台、六甲ガーデンテラスなどが六甲山系に点在している。
そのなかでもとくに日本三大夜景を謳われるのが摩耶山からの眺めだ。
それならばぜひそこへ行ってみようと思っていた。

麻耶山山上の掬星台広場へは「まやビューライン(ケーブルカー~ロープウェー)」に乗る必要がある。
車があればいつでもいける場所だが、シーズンオフの平日ということもあってか、この日はなんと17:30には最後のロープウェーが出てしまう。
この日の神戸の日没時間は17:16だから、ゆっくりと夜景を見ることはとうてい不可能だ。
このことは事前に調べている段階から分かっていて、「まやビューライン」は本当にこの時間に終わってしまうのか、ほかの交通機関はないのか、最悪帰りは徒歩で帰ってくることはできないのか。
その辺りのことまで知っておきたかったのだが、結局ネットだけでは限界があってはっきりしたことは分からなかった。
そこで三ノ宮に着いたら観光案内所へ行くことにしていたのだ。
そこならきっと詳しいことが分かるに違いない。

カウンターにいた女性に尋ねると、やはり麻耶山へはほかに行く術はないとのことだった。
レンタカーや観光タクシーを使うならまだしも、徒歩で戻ることはまず無理だという。
わかりにくく真っ暗な山道を下ることになり、地元のひとでも迷うことがあるという。
真剣に遭難の危険もあるからと、断固とした拒絶の意思を告げられた。
それよりもはるかに行きやすく、夜景を見ることのできる場所はほかにいくつもあるからと。

予想はしていたが、さてどうしようか?
しばらく駅周辺を歩きながら、悩みつづけた。
おとこひとりで観光タクシーはないだろう。
それならばレンタカーがある。
じっさい駅レンタカーの営業所の前に何分佇んでいただろうか。
行こう、いや止めておこう。
本当にどちらを選んでもおかしくないほど、ギリギリのところまで悩んでいた。
そして逡巡のあげく、麻耶山へ行くことはあきらめることにした。

多少の無理をすれば、当初からの思いを成就させることはできたかもしれない。
レンタカーを借り、道路地図を手に入れるだけでいい。
予定外の出費になるが、たいした額ではない。
こういうときに行動に移す勇気が自分にはある。
あとは気持ちひとつだった。
しかし退くことが必要な時もある。

麻耶山へ行くことは、大きな目標のひとつだった。
しかしそれだけがすべてではない。
神戸へ来たらベイエリアにも行ってみたかったし、繁華街をあてもなく歩いて街の雰囲気を生身で感じたりもしたかった。
それがいつもの自分の旅のスタイルだからだ。

いつかもう一度ここへこよう。
そうしてそのときこそは、掬星台からの夜景に見蕩れることにすればいい。
何年か先の自分のために、旅先でひとつやり残していくことも乙なものだ。

▼ メリケンパーク

麻耶山が無理ならば、よりアクセスのしやすい展望スポットへ行けばいい。
じつはそうなったときは六甲ガーデンテラスへ行くつもりでいた。
そうと決まれば時間はたっぷりある。
とりあえず夜景が見られる時間になるまでは、港へ出てみようと思った。

またも三ノ宮駅をうろうろして、適当なバスが出ている乗り場を探す。
そこへちょうどやってきたバスが、メリケンパークを通るようだ。
なんとなく飛び乗ってみる。
後ろから乗って、均一の料金200円は降りるときに払うようだ。

新しい高速道路の橋脚の下でバスを降りる。
メリケンパークは、美しく整備された広大な敷地に神戸海洋博物館やホテル、波止場を備えている。
入って最初に目に付いたのが、神戸港震災メモリアルパークだ。
阪神淡路大震災で被災したメリケン波止場の一部を保存してパネルの展示場を設けた、さして広くない一角である。
じつはここも旅に出る前から来ようと思っていた場所だった。
斜めに崩れ、でこぼこになった岸壁の姿が、周囲の真新しい建物のなかで異質に映る。
けれども次の瞬間には考えが変わっていた。
どちらかというとホテルや博物館の建物のほうが、不自然に際立った美しい造形を放っていたからだ。


頑丈そうな橋脚


震災メモリアルパーク


1963年からここにある――神戸ポートタワー

ポートタワーから中突堤中央ターミナルへ歩いていく。
遊覧船へ呼び込む係員の声が響く。
そういえば、お腹が減っているのを忘れていた。
これといってそそられる店もないので、とりあえず缶コーヒーで誤魔化しておく。
そこから散歩がてら、元町駅まで歩いて出た。
道すがら聞こえてくる子供たちの会話も、当然ながら関西弁だ。
そんなことを必要以上に意識しているのは、それが自分にとってはこの町を感じるいちばん手っ取り早い方法だったからかもしれない。

▼ 六甲山

歩きづめでさすがに少し疲れていた。
駅では、リメイクされた「いい日旅立ち」のメロディーが流れていた。
たったひと駅ではあるが、元町から三ノ宮へ電車で戻る。
15:10ホテルにチェックイン。
16:00にはふたたび外出。
六甲山を目指す。

JRばかりではつまらないので、阪急三宮駅から六甲駅へ移動。
さらに市バスで六甲ケーブル下へ。
ここから六甲ケーブルで六甲山上へ登る。
切符売り場の係員によると、山頂は風が強くなってきているとのことだった。
所要10分ほどだが、登るほどに寒さが増してくる。
ザックからカーディガンを取り出し、ジャケットの中に着込んで備える。
ケーブルの六甲山上からは、さらに六甲山上バスで六甲ガーデンテラスまで10分かかる。
こうして実際来てみると、函館や長崎のように気軽に見られる夜景ではないことが分かる。
麻耶山から歩いて下山しようとしていた自分の浅はかさに呆れる。

さらにいえば、神戸市街の平地の狭さは想像以上だった。
国内有数の港と背後に迫る六甲山系に挟まれるようにわずかな平地がある。
神戸とはそういう町だったのだ。

きれいな夜景が見られる条件はひと通り揃っているといっていい。
六甲ガーデンテラスの標高は880メートル。
バス、ケーブルカー、バスを使って、そこまでの高さに一気に登って行く。
スケールの大きさが、際立って感じられる。
17:00にガーデンテラスに到着。





洒落た雑貨店やレストランなど、カップルや家族連れに人気のようだ。
西洋の佇まいに統一されて、夜景スポットとしては整備されすぎている感もある。
建物の切れ間に「見晴らしの塔」が建ち、そのすぐ先には神戸の街並みが広がっていた。





着いた頃は明るかったのに、気がつくと日が沈みはじめていた。
高さのある六甲山から見渡すと、大阪湾の先に紀伊半島の付け根となる辺りまで見通すことができる。
ここまで来ると、景色というよりも鳥瞰図だった。





▼ 夜の神戸

風は絶え間なく吹いていて、時間とともに気温も下がっていく。
寒さが増すなか小雨もぱらつき出したので、ふたたびバスでケーブル山上へ戻った。
ケーブルカーに乗り込むと、同乗したのは麓の切符売り場にいた若い係員だった。

行きとは違う道で帰ろうと思い、JRの六甲道駅へ向かった。
三ノ宮へ出る電車の中で周りにいるひとたちを見ていると、言葉や気質が多少違ってもやはり同じ日本人だなと思わせられる。
三ノ宮で目的もなくひとの流れに身を任せて歩いていると、延々とつづくアーケードに出た。

気がつくと中華街をさまよっていた。
お腹が減っていることを思い出し、「北京菜館」という名の店先で売られている月餅を買い食い。
しかし夜も8時近くになっていいかげんきちんとした食事をとる気になり、何となく目に付いた店に入った。

「燕楽」という看板をかかげた店の2階に案内されると、メニューの中からワンタンセットを注文した。
ワンタンに、チャーハンと点心(豚まん)が付いている。
もちろん生ビールをつけることも忘れなかった。
周りの丸テーブルはおおむね宴会状態。
さすがにひとり客は少ない。

食後のデザートにと思い、「上海飯店」という店の露頭で安売りを始めた唐揚げとごま団子を買って食べた。

缶ビールを買って帰ろうと思ったが、なかなか売っている店がない。
コンビニがあっても酒を置いていない店ばかりだ。
繁華街のど真ん中だから仕方ないが、やっと駅前で小さな酒屋を見つけた。
それにしてもキャバクラの呼び込みが間断なく襲いかかる。
信号待ちの歩行者を狙うのは反則だろう。

駅から程近いところにあるホテルに戻る。
洋館のような造りで、エレベーターもクラシック調だ。
おとこひとりで泊まるには勿体ないくらい雰囲気がいい。
床も絨毯敷きではなくて石造りだ。
ユニットバスでないのもありがたい。

テレビをつけるがあまりにもこの部屋にはそぐわない番組が多い。
どんなに背伸びしても、やはりここは日本なのだ。


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