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遠ざかる想い出 ~平坂書房とヤジマレコードの閉店~

遠ざかる想い出 ~平坂書房とヤジマレコードの閉店~ 01

生まれ育った町の老舗であり、思い入れも深い書店とCDショップが、今年相次いで閉店した。

たしかにどちらもここ数年、数えるほどしか足を踏み入れてはいなかった。
本もCDも、以前ほど買う頻度が減ったというだけでなく、私自身もネット通販に溺れてしまった一人だから懐かしむ資格はないのかもしれない。

それでも、この機会を逃したら二度と語らないまま終わってしまう気がしたので、ここに書き記しておきたい。

   ◇ ◇ ◇

平坂書房は横須賀市を中心に、一時は市内外に10店舗以上を擁した横須賀最大の書店チェーンだった(馬堀店のみ今後も存続するらしい)。
なかでも北久里浜店には物心付いた頃から通っていたので、もちろん立ち読みもしたけれど、本を買うのに生涯もっとも利用した店舗と言ってもいい。
2016年版が最後となった愛用の手帳「スーパーダイアリー(リベラル社刊)」を最初に見つけたのもここだった。
マンガ、小説、文庫、雑誌、参考書。
音楽、車、パソコン、地図、旅行、時刻表。
年齢とともに移り変わる趣味嗜好を、くまなく受け入れてくれる知の宝庫だった。
本屋は、ネットが普及するまでは、テレビ、ラジオと並ぶ重要な情報源の一つであった。

ご多分に漏れず、コロコロコミックや少年ジャンプを読んでいた頃の幼い記憶が甦る。
とくに気に入ったマンガは、少ない小遣いをやりくりして単行本を買い集めた。
人気漫画の最新刊ともなれば、平積みされるくらい大量に配本されるのだろうが、第1巻の初版というのは発行部数が少ないのだろう。
待ちに待った発売日に買いに行っても売り切れということは、珍しくなかった。

何度かの憂き目にあってから予約することを覚えた私は、今度こそは発売日に手に入れようと決心した。
そこで「ウイングマン」の第1巻は、予約してから買いに行ったのだ。
でも、本来は店舗に赴いて予約すべきところを電話1本で済ましていたので、忘れられていた。
衝撃だった。
予約という大人のシステムをもってしても入手することができなかったのだ。

予約票を持っていなかったので、電話で予約したことを伝えると、こちらの手違いですと謝られた。
お互いに行き違いがあったのだ。
仕方あるまい。

でも、そのままでは終わらなかった。
市内に複数店舗を持つ強みとでも言おうか、電話で近隣の店舗に問い合わせたところ、1冊だけ残っているところがあったという。
しかも、少し待っていてくれればすぐにこの場に届けてくれるという。
大人たちのシステムは、なんと臨機応変でそつがないのであろうか。

かくして、2、30分ほどだったと記憶しているが店内で待っていた私は、
「『ウイングマン』の第1巻をお待ちのお客様~! お待たせしました~」という大きな声に呼ばれて、少しの気恥ずかしさと待ちわびた瞬間の訪れに背中を押され、レジへ向かうのだった。

   ◇ ◇ ◇

ヤジマレコードは、横須賀中央駅からほど近い目抜き通りにあるレコード・CD店で、横須賀市民なら誰もが知る店だ。
三笠通り(2013年2月10日閉店)や久里浜(2016年1月24日閉店)にも店舗があったが、いずれもすでに閉店している。
本店は、おそらく横須賀市内でもっとも人通りの多い交差点の角に位置しているため、信号待ちする市民を長らく見守り続けてきた古き良き横須賀を象徴する店だったと言ってもいい。

幾度となく、ここでレコードやCDを買った。
1階の売り場からは想像できないほど、地下売り場が広い店だった。
そしてここには、なによりも忘れ得ぬ思い出がある。

生れてはじめて自分でお金を出してレコードを買った日から、遡ることさらに数年。
私は誕生日プレゼントとして、アニメ「銀河鉄道999」のレコードを親にねだった。
まだレコードを買えるほどの小遣いを貰っていなかった頃のことだと思う。
アニメのレコードがぎっしり詰まったラックの中から、「999」のジャケットを何枚か見つけた。
でも幼い自分が、サウンドトラックのことや、発売されているレコードの詳しい内容について事前に情報を得ていたはずもない。
30センチにも及ぶLPレコードの大きなジャケットを前にして、とりあえず「絵」として気に入ったほうを手に取り、これが欲しいと父親に渡した。
もちろん父も、アニメのレコードに明るいわけもなく、言われるままレジへ持っていく。

少し離れたところでそれを見ている私。
ところが、父はすぐに戻ってきた。
レジのお姉さんによると、このレコードは英語の曲ばかりだという。
私にしてみれば、ジャケットの「絵」としては欲しいほうだったのだが、「エイゴ」ばかりでは困るので、後ろ髪を引かれながらももう1枚のレコードを買って貰い、帰途に就いた。

プレイヤーのターンテーブルにレコードを載せ、針を落とす。
聴き慣れたささきいさおの声が、内蔵のスピーカーから流れてきた。
ジャケットのことなどすっかり忘れて、自分が聴きたかった音楽、欲しかったレコードが手元にあることに安堵した。
そんな幼い頃の記憶を、いまも私は鮮明に思い出すことができる。

ヤジマのお姉さんは、小学生の私が一所懸命品定めしている姿を見ていたのだろうか。
それともいかにも子どものためにアニメのレコードを買おうとしている中年の男性に、一言声をかけただけなのかもしれない。

どちらにしても、対面でレジを打ってくれた気の利く店員さんのおかげで、私の誕生日プレゼントは一生忘れられない思い出の品となったのである。

遠ざかる想い出 ~平坂書房とヤジマレコードの閉店~ 02
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