最近見た映画
2009年08月30日(日) [ 映画 ]
20世紀少年 (音あり) ★★★★
24巻(『21世紀少年』の2巻含む)にも及ぶ原作コミックの壮大な世界を映画化した無謀とも言える本作。原作者が描いた物語のテイストを十分に再現しているとはとうてい思えないが、エンターテインメント、スペクタクル、キャスティングに関してはよくがんばったで賞を差し上げたい。
原作の登場人物たちをそのまま実写化したかのような見た目の近さにこそ、最大の努力を注いだと見受けられる。
それら人物を、映像のなかで活かすための演出に徹した点も評価したい。
かつて、『226』という映画を見た時に感じたようなオールスター集結振りにもわくわくする。
ただし原作を読んでいないと、そもそもその努力を感じ取ることすらできない。
昭和、万博、少年、冒険、ロックなど、原作には独特の懐かしさを伴った匂いが感じられる。
その点で映画は、原作のあらすじを追っているだけの希薄なダイジェストに見えてしまうのだ。
それはあの長尺の原作を読んでこそ得られるカタルシスだったかもしれない。
3部作すべてを鑑賞した時にどんな感想を抱くかは、時が来たら記事にしようと思う。
この第1章は、あくまでも原作ダイジェストの実写化と割り切ってしまえば、それなりに楽しめるものに仕上がってはいる。
ブタがいた教室 ★★★
妻夫木聡演じる新任教師が、担任する6年生のクラスでブタを育て、最後には食べることを提案する。ブタに名前をつけてかわいがる子どもたち。
食事の世話や糞尿の始末をしながらも、心を通わせていく。
卒業が近づいていくなかで、本当に食べるかどうかで、純粋な議論を重ねる子どもたち。
残酷にも思える試みだが、実話を元にしているという。
ブタが想像以上に愛らしく、それを食べるということとのギャップに挟まれる子どもたちの姿が、また愛おしくも感じられる。
スーパーマーケットには、加工され、形の見えない数多の食材が並べられている。
生の意味を問う問題作ではあるが、その仰々しさを押し付けることのない演出がこの映画の良さを引き出しているようだ。
感染列島 (音あり) ★★★★
新型インフルエンザウイルスに感染したと思しき患者が、日本国内で死亡した。時を同じくして養鶏場で大量の鶏が突然死する。
妻夫木聡扮する救命医と、WHOから派遣されてきた檀れいが、日本を襲う未曾有の事態に最前線で活躍する。
この映画が公開されたのは、2009年1月17日である。
メキシコを発端とした現実の新型インフルエンザ渦はいまも進行中だが、その始まりは2009年4月のことだった。
当時劇場公開はほぼ終了しており、7月24日予定だったDVD発売の狭間でもあったため、見たくても見ることのできない状態が続いていた。
やっと見ることのできた本作品だが、物語の展開や主演ふたりのラブストーリーなどで、若干のご都合主義は垣間見えたが、感染症の恐ろしさを伝えるには十分のできだったと言っていい。
ホラー映画のように無駄に怖がらせることに心血を注いだわけではなく、(制作段階では)将来起こるであろうウイルスパニックが人々に与える精神的恐怖にまで目が向けられている。
国産のパニック映画としては、なかなか見応えのあるものになっていた。
やや駆け足で話が進んでいくため人物描写は薄く感じられるが、それでも138分という上映時間だからこの程度の割り切りは必要だったのかもしれない。
レンタルDVDで鑑賞したが、思いの外画質が良かったのにはびっくりした。
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